今はもう冬、クマは冬眠の季節です。
本州のツキノワグマは、本来はドングリを好み、人を喰うクマではないのですが、人間とクマの遭遇で不幸な事故が多発し、処分されたツキノワグマが多く出ました。
殺処分のニュースを見るたびに胸が痛みます。
ヒトと野生動物との間に境界線を見ることができるのはヒトの側だけですので、どうやってそれを動物側に理解してもらうのかがひとつの課題なのではないでしょうか。
犬が家の中で暮らすようになりクマは里に・・・
渓流釣りや山菜取りで熊のテリトリーに入って行っての事故で熊が処分されるのはどうなのかと思いますが、里に下りてきてしまうクマはどうでしょうか。
そもそも、人間が範囲を広げ過ぎたという以外に、クマが里に下りてきてしまうのは、餌が少ないときしょうがなく、という理由だったと思うのですが、ある識者は人間が犬を室内で飼うようになったからだ、と指摘していました。
以前は家の外でワンワンうるさく吠えたてていた犬たちが、お家の中で飼われるようになったから、クマが里に下りてきやすくなったのだと。
なんだか納得してしまう意見です。
かといって、可愛いワンちゃんを外で飼うのはかわいそうです。
犬ぞり用の犬や、狩猟犬のように、外で暮らす適性の高い犬はともかく、その辺で見かける愛玩犬は外で暮らすようにはできておらず、人間と一緒に室内で、夏は冷房を、冬は暖房を必要としています。
まぁ、暑さ寒さの適性だけではなく、心情的に、例え私が犬ぞり犬を飼っていたとしても、家の中に入れちゃうと思いますけど・・・。
クマスプレー携行と犬同行の是非
山菜取りや渓流釣り、登山をされる方はクマスプレーの携行を検討された人も多いのではないでしょうか。
クマスプレーはクマに向かってスプレーするとすごい刺激臭でクマはもうたまらん、と前後不覚になるというすごいスプレーで、クマに向けなくても刺激はものすごく、我らが神奈川県ではクマスプレーをゴミ収集に普通に出しちゃってゴミセンターの職員さんが入院する騒ぎがありました。
1本1万円以上することもあり、しかし使用期限もあり、処分に困るのもあり、取り扱いが厄介な存在かもしれませんが、持っていると安心なのは確かです。
一方、登山者の間では犬連れハイキングの是非が議論され続けています。
野生動物を捕食してしまうような犬は話になりませんが、人について歩ける程度のしつけが入っているのは、山へ行こうが行くまいが最低限しておきたいことです。
実際、低山では犬連れ登山者ともよく出会いますが、皆ちゃんとリードで繋がれいい子にしているようです。
犬が森に入ることによって、臭いが拡散して野生動物の繁殖にも影響があるともいいますから、慎重になるべき問題なのでしょうが、クマとの遭遇のみについて考えれば、クマスプレーよりも犬と同行する方が間違いのない感じはします。
里山の山小屋では犬が飼われていることも多いですし、実際に獣除けの効果はあるんでしょうね。
とはいえ、うちのネコが犬だったとして、山には連れて行かないと思います。
クマに襲われたらかわいそうなので。
カレリアン・ベア・ドッグにおまかせ
長野県軽井沢町では、里に近づくクマを撃退するべく、カレリアン・ベア・ドッグを2004年から導入しました。
クマの保護管理に努めるNPOが、犬の輸入の検疫がベアドッグの普及のネックになっていたため、これを解消すべく繁殖から訓練まで行える施設を用意し、全国で初の試みとして注目を集めています。
カレリアン・ベア・ドッグってどんな犬?
見た目は日本犬にもよく似た、立ち耳、巻き尾のがっしりしたワンコです。白黒模様が可愛らしく、毛は短く密集していてムチムチした感じです。
元はフィンランド原産で、狩猟に用いられていました。今でもフィンランドでは狩猟犬として活躍しているカレリアン・ベア・ドッグは多くいるようです。
原産地カレリア地方はフィンランドとロシアに分断された際、このカレリアン・ベア・ドッグをどちらの犬にするかでもめ、うちの犬よ!と両足を引っ張り合っていたところに大岡越前が・・・っていうわけもなく、フィンランド側のワンコがカレリアン・ベア・ドッグ、ロシア側のワンコはラッソ・ヨーロピアン・ライカとして発展していきました。
細かい違いはあれど、ご先祖は同じなので、よく似た特徴の犬種となっています。
日本では、以前、北海道でヒグマ撃退のために輸入されたこともあります。
ニコっと笑ったような顔の割には恐れ知らずの性格で、自己主張もなかなか強く、運動量も多く、飼育が難しい犬種だそうです。
体重は20kgにもなりますので、結構大きいですね。
クマ撃退犬、秋田犬なんかでもいけそうな気がするのですが、カレリアン・ベア・ドッグにしたのは何故なんでしょうか?秋田は大きすぎる?では甲斐犬は??
YOUTUBEで、ネコが網戸越しに庭に来たグリズリーのような大きな熊を撃退した動画を見ましたが、その時はネコが無事でしたのでよかったのですが、ネコの身の上を考えるとあんまり笑えません。きっとマルチーズやポメラニアンがワンワン吠えたてても、クマは嫌な気分になって立ち去りたくなるんでしょうけれど、なんとも心配です。その点、カレリアン・ベア・ドッグは専門家です。安心してお任せできます。これからこのワンコの繁殖・訓練がうまくいき、クマを殺処分することなく、平和的解決に至ることを期待しています。