ペットの抜け毛でお困りの飼い主さんは多いのではないでしょうか。
人気のファーミネーターは、ブラッシングするとたくさん毛が抜けるので換毛期なんてさっさと終わらせたい!というニーズに合った商品ですね。
実際のところ、ファーミネーターによって抜け毛問題は解決するのでしょうか!?
目次
毛周期により抜け毛の多い犬種が決まる
犬や猫、そしてヒトにも毛周期というものがあります。
毛周期というのは、ヒトの髪の毛の場合、
- 成長期(伸び続ける状態:全体の85%)
- 退行期(伸びなくなる:全体の1~2%)
- 休止期(伸びないままとどまっている:全体の15%)
→毛包の中に新しい毛ができると、休止期の毛は抜け落ちます。
ヒトでも頭髪以外の体毛は、生えている場所によってそれぞれの割合が違ってきます。
脱毛サロン等はこの毛周期を考慮して、処置する時期を決めているんですね。
ペットの場合、特に犬の場合、毛周期は犬種によって違います。
ゴールデンレトリバーやヨークシャテリアは休止期にある被毛の割合が多く、プードルやシーズーは成長期にある被毛の割合が多いようです。
この違いが、抜け毛の多い犬種、少ない犬種、と言われる所以なのでしょう。
シングルコートの犬猫には不要?
ファーミネーターは、抜け落ちた、もしくは抜け落ち待ちの休止期の「アンダーコート」を除去するものなので、そもそもダブルコートではないシングルコートのワンちゃんネコちゃんには不要のものかもしれません。
シングルコートの犬種:プードル、ヨークシャテリア、マルチーズ、パピヨンなど
シングルコートの猫種:シャム、シンガプーラなど
シングルコートの犬種や猫種は、短毛猫やプードルはスリッカーブラシが向いていますし、ヨーキーやマルチーズみたいなシルキーコートの犬種は、ラバーブラシや獣毛ブラシなどで優しくブラッシングするといいですね。
ナイフでのレーキングとは違う?
レーキングとはざっくりいうと専用のトリミングナイフで犬の毛を抜くことです。
「ナイフ」といっても、小さなナイフの刃の部分がファーミネーターみたいになっているもので、ペットに使用しても危険はありません。
レーキングナイフとファーミネーターは刃のついている向きが違います。
人間のカミソリでいうとこの普通のカミソリ=レーキングナイフ、T字カミソリ=ファーミネーターという感じです。
以前は、ナイフでのお手入れはテリア系の犬種やシュナウザーなどで、ワイヤー状の被毛を固く美しくキープするために使用されていましたが、最近はチワワやミニチュアダックスフントなど、いろいろな犬種でレーキングが行われています。
ダブルコートの犬猫のアンダーコートをひっかけて抜き去る、という考えかたは同じなので、トリミングサロンでレーキングしてもらっている子は家でファーミネーターをする必要はあまりないかもしれませんね。
逆も然り、家でファーミネーターをがっつり使っていると、サロンでレーキングを頼んでも抜ける毛がないかもしれません。
ファーミネーターは効率的?
爪切りが嫌だとか、注射が嫌だとか、ペットによって苦手分野はあると思います。
苦手なことをしなくてはならないとき、重要なのがスピードです。
モタモタしているとペットはイライラを募らせ、余計にその行為を嫌いになってしまいます。
必要なケアから受けるストレスを軽減するには、子犬や子猫のうちからブラッシングや爪切りなどのケアに慣れさせておくことが大切です。
とはいえ、誰もが子犬や子猫の頃から飼い始めるわけじゃないですよね。
うちの猫も生後半年以上経ってから飼い始め、狂暴なうえブラッシングが大嫌いです。
だから我が家でブラッシングと言えば食事中に背後からさりげなく、かつスピーディーに、が基本です。
いかに短時間で効率的に抜け毛を取り除くかが問われます。
ファーミネーターはそういったときに便利かもしれません。
ファーミネーターもどきの実力
我が家はスコティッシュフォールド1匹だけなので、通常のスリッカーによるブラッシングだけでいいのかもしれませんが、換毛期は地獄の抜け毛なので、アンダーコートをごっそり取るというセニングブラシを使用してみました。
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梳かしてみると想像以上に毛が浮いてきます。
よく、ファーミネーター本物との違いに、刃の付き方等がいわれていますが、刃を直接皮膚に当てるでもなく、被毛の上からなので正直そこまで違いがあるのかな?とも思います。
うちの猫がハゲたのは商品のせいではなく、私の使い方のせいだと思っています。
同じ場所ばかり攻めたらダメ!ぜったい!
しかし使い始めてすぐではなく、しばらくしてから猫をハゲにしてしまいました。
焦っていたのでしょうか?
肩のあたり、毛が薄くなってしまってピンクです。
やりやすい部分、すなわちブラッシングしやすい部分、相手によって微妙に違うかと思いますが、大概が面積が広い肩や背中あたりでしょうか、やりやすいからとそこばかり集中攻撃するとハゲます。
ハゲるだけならまだしも、皮膚を擦って擦過傷にしてしまうと出血&かさぶたになって痛くてかわいそうです。
ブラッシングがすぐ嫌になってしまう子の場合は、一気に全部済ませようとせず、今日はここだけ、という風に毎日少しずつを心がけるといいのではないでしょうか。
ファーミネーター類似品を使うと
6月某日、うちの猫ちゃん換毛期続行中、毎日1回、カリカリ食べている間にだけファーミネーターもどきを使っている状態。
じっさいにファーミネーターもどきを使った結果の1回使用での抜け毛の量です。
これが毎日です。
ファーミネーターは結構毛が舞うという噂もありますが、この類似品はあんまり舞う感じはしないです。
うちの猫はフードを食べながら「おいしいんですけど~」と私にスリスリしてくる習性があり、そのため抜け毛が私の服&床に着いちゃう感じ。
ちなみに、猫の足のために床をフローリングからカーペット敷に変えたのですが、抜け毛は掃除しにくい!
フローリングワイパーが恋しいです。
が、猫は歩きやすそうですのでこのままでいきます。
本人も食後のグルーミング中。
手元の毛玉は、上の写真のを丸めて置いたものです(やらせ)。
このあと両手に抱えてペロペロしだしたので慌てて回収しました。
ファーミネーターの使い方のコツ
グルーミンググッズを使い分ける
毛玉になっていたりして引っかかる部分があったら、まずはスリッカーやコームなどでほぐしておくといいです。
そういう作業を全部ファーミネーターだけでやろうとすると抜けるべきではない毛までむしりとるような形で抜けてしまいがちだからです。
毛玉になりやすいのは、脇や足の付け根など動いてこすれる部分ですが、よくフエルト状になってしまう子もいます。とくに長毛種。
あまりにひどい毛玉はハサミやバリカンで切り取っちゃったほうがいいこともあります。
両手を使ってコーミングする
普通のスリッカーブラシでのブラッシングでもそうですが、利き手でファーミネーターを持ったら、逆の手で犬(猫)の皮を引っ張っります。
人間の美容師さんも、梳かす毛の根元をコームを持っていない方の手で押さえているんじゃないでしょうか。
これやられないと引っかかったときに痛いんですよね。
皮膚をしっかり張って、伸ばした状態で毛の流れに沿ってブラッシングするのがベストですが、引っ張るのはなかなか難しいので、皮膚をそっと抑えるだけでもいいです。
ブラシを持たない方の手を添えることで、ペットの急な動きにも対応できますので、より安全にファーミネーターを動かすことができます。
仕上げはスリッカーかコームで
ファーミネーターを使った後って抜けた毛がフワフワ浮いている状態でワンちゃん猫ちゃんの身体にまとわりついている状態じゃないでしょうか。
これもスリッカーで取り去ってあげると仕上がりがきれいになりますよ。
なんとなくファーミネーター後がぼさついて見える問題は、この仕上げのスリッカーやコームをかけてあげることですっきりさっぱりして見えるような気がします。
(気のせいじゃないと思いますが!)
ファーミネーターのやめどき
本当に、梳かしているといつまでも毛が抜けるのがワンちゃんや猫ちゃんです。
特に換毛期は、きりがないほど抜けます。
全身を1周したら、とか、ブラッシングが苦手な子の場合は部分ごとに分けるとか、1回10分だけ、とか、どこかで区切って適当なところで切り上げるのがよさそうです。
毛周期があるので、いっぺんにたくさん抜け毛を処理したからといって、抜け毛が著しく減るかというとそうではないので。
ファーミネーター・ブラシ類の正しい持ち方
私はトリミングの授業でスリッカーブラシは「三本の指で持つ」と教わりました。
20年以上愛用しているスリッカーを持ってみました。
人差し指と中指、親指のみで持ちます。
この持ち方だと強い力が入らず、犬や猫の皮膚を傷つけにくくなります。
スリッカーやファーミネーターを握りしめた状態で使用してしまうと、肘や膝などの関節部分や、内股の部分など、点で力がかかりすぎて擦過傷を起こしやすくなります。
特に、ファーミネーターは構造的に被毛に当たる「面」の部分がスリッカーブラシよりも小さくなりますので、一点に集中攻撃がしやすい形だと考えられます。
ですので、形的に3本の指で持つのが難しいブラシなどでも、優しく、力を入れずに使用することが上手にブラッシングするコツです。
ファーミネーターもどきですと、持ち手が棒じゃなくて板状になっているのでちょっと3本指では持ちにくいですが、小指を立てるとあら不思議、持ちやすくなります。
普段のブラッシング&仕上げはスリッカー
肝心の抜け毛対策はどうでしょう。
換毛期、ファーミネーター(もどき)で毎日抜きまくった結果、いつもの換毛期よりは抜け毛ピークは早めに収束したように感じます。
しかし猫は換毛期以外に毛が抜けないわけはありませんので、本当に気のせいか?と思うくらいの違いです。
私の場合、結局はいつものスリッカーブラシでブラッシングのほうがいいかも?という結論に至ったのでした。
トリマー御用達スリッカーブラシ。
剣山のような見た目ですが、使えば使うほど一本一本のピンの先が削れてマイルドになっていく優れものです。
私のものは購入から20年以上経過し、たくさんのワンちゃん猫ちゃんに使いましたので、だいぶ毛先がマイルドになっています。
ファーミネーターの使用頻度
一般的にはファーミネーターの使用は週に1回程度でよいとされていますね。
実際、犬猫にも毛周期がありますので、いっぺんに抜け毛がなくなるくらいきれいにしようとしてもそれは不可能です。
毎日ファーミネーターを使用したからといって換毛期がすぐに終わるというわけではなく、無理に頑張ってしまえば今抜ける必要のない毛までむしりとるような形で抜いてしまうかもしれません。
ムリにむしり取ったとしても、すぐにまた毛周期によって抜けやすい休止期の毛は発生するので、「あんなに頑張ってファーミネーターしたのにまだ抜ける・・・」という事態になるかもしれません。
そもそも、フワフワの被毛もワンちゃん猫ちゃんの「カワイイ」を作り出している要素のうちのひとつなのではないでしょうか。
(あくまでひとつです、スフィンクスもチャイニーズクレステッドも可愛いですもん)
やはり、犬猫の抜け毛対策としては、毎日のこまめなブラッシングがいちばん大切なのではないでしょうか。
お風呂・シャンプーが一番の対策?
我が家のかかりつけの獣医の先生曰く、抜け毛シーズンをさっさと終えるには
「お風呂に浅くお湯を張って、その中で猫を揺さぶる」といいらしいです。
うちの猫は狂暴なのでもちろん無理でした。
狂暴じゃない実家の猫で試したら、ぬるぬるとウナギのように回転しながら逃げました。
そこまで反お風呂主義でないワンちゃん猫ちゃんには有効だと思います。
湯船のお湯の中で揺さぶるのが無理だとしても、普通にシャンプーするだけでも十分抜け毛対策になります。
抜け毛がつきにくい服の素材
猫飼いのおばさまで、お家の中ではシャカシャカ素材しか着ないとおっしゃっている方がいました。
ウインドブレーカーのような、ナイロン素材の服を好んで着ておられるとのこと。
ズボンも同じ素材の、上下セットもありますのでいいですよね!
シャカシャカと多少の音はしそうですが、払えば毛が落ちるのは非常に魅力的です。
撥水加工がしてあったり、ビニール素材などのツルツルした生地の前掛けエプロンをするだけでも着ている服への抜け毛の付着はかなり防げますよ。
着替えが面倒なときは、ブラッシングするときだけでもそういったエプロンをさっとかけるといいかもしれませんね。
静電気もまた抜け毛を吸い寄せる原因なので、静電気除去も抜け毛対策になるかもしれません。
静電気的には、化学繊維よりも綿やシルクなどの天然素材が起きにくくていいですね。
シルク・・・ツルっとしていて静電気も起きにくい、抜け毛的には最高の素材かもしれませんが、猫に爪でも引っかけられたら泣いちゃうかもしれません。
ガムテープも抜け毛対策
粘着テープ「コロコロ」はどちらのお宅でも常備している、ペット飼いのもはや必需品?かもしれませんね。
コロコロの形状からして、フラットで、ある程度の面積のある場所以外ではちょっと使いにくい。
なので、わたしは紙タイプのガムテープもよく使います。
ガムテープですと、角やデコボコした場所でも毛を取りやすいので、キャリーバッグや猫ベッドのすみっこ、カゴ系などはそちらを使うようにしています。
ガムテープの方がコロコロよりも剥がしやすいのも嬉しいです。
「剥がしやすい」とうたっているにも関わらず剥がしにくいコロコロばかりでイライラします!
毛だらけで生活するのは、見た目の問題はもちろんですが、世の中には猫アレルギーの方もいますので、着替えは出かける直前にしたり、着替えた後は猫を抱っこしないようにしたり気を付けています。
でも猫がスリスリしてくるのは拒否できない!
各種ブラシやお掃除グッズ、シャカシャカ素材の服など駆使して上手に抜け毛対策していきましょう!
抜けた毛はきれいに掃除しましょう