池の水ぜんぶ抜く?かいぼりで出てくる外来種と在来種について

テレビ東京で放送されている「池の水ぜんぶ抜く」シリーズ、地味に人気があるようですね!
私も録画するほどではないものの、放送しているとついつい観てしまいます。
子供の頃慣れ親しんだ生き物たちが多数登場し、懐かしくも当時「外来種」「在来種」なんて言葉はまだ一般化しておらず、何も考えずにいられたおおらかな時代だったんだな、と時代の変化を感じます。

最近の子供もそうかもしれませんが、昭和に子供だった大人は皆「自分の池」みたいなものが思い出の中にあるようです。
私にもあります。そこで色々な生物と出会いました。
「池の水ぜんぶ抜く」を拝見していますと、懐かしい生物達が登場します。

時代は「かいぼり」ブーム?

池の水ぜんぶ抜く?かいぼりで出てくる外来種と在来種について

池の水を抜き、魚を捕獲し、整備する。
昔から農業用ため池などで「かいぼり」として行われてきました。

最近では井の頭恩賜公園の池で、100周年に合わせ、3年越しで大規模なかいぼりが行われ話題になりました。
ニュースで拝見していましたが、自転車やらなにやら色んなモノが池の底から出てきていましたね。

※調べてみたら、自転車230台、バイク10台が池から出て来たそうですよ。
大丈夫か日本!

井の頭恩賜公園のかいぼりは専門家が監修し、ボランティアの皆さんも参加して管理されたスケジュールのもと行われていました。

たくさんのかいぼりファン?の方々が見学に訪れていました。
めったに見られないものですからね。
私も近所なら見に行きたかったと思います。

幻の存在なのか、ニホンイシガメ

番組では、イシガメは幻のカメのような扱いでしたが、実際はどうなんでしょう?

あれだけたくさんのミシシッピアカミミガメ(外来種)が池から出てくると、確かにイシガメはもはや幻の存在のようにも思えてきますね。

池の水ぜんぶ抜く?かいぼりで出てくる外来種と在来種について

井の頭恩賜公園の池のかいぼりでは、ニホンイシガメは8匹確認されました。
対してミシシッピアカミミガメは14匹、クサガメは19匹。
ここでもやはり外来種が優勢のようです。
クサガメは外来種といっても、江戸時代に朝鮮半島から来たとか、元々いたとか、不明な点も多いですが。

イシガメは地域によっては絶滅が危惧されているそうですが、その原因のひとつが交雑による遺伝子汚染です。
クサガメと交配してしまうんですね。
純血種としてのイシガメが数を減らしています。
アライグマによる捕食被害もあるそうですよ。

そういえば、私が子供のころはペットショップで「ゼニガメ」として売られているのは「クサガメ」か「イシガメ」の子供だ、と
聞いたことがあります。
どっちやねん!って子供心に思いました。

クチボソ(モツゴ)ってそんなにレアなの?

子供の頃、自宅の60センチ水槽で金魚とバラタナゴ、そして食用から救われたドジョウを飼育していました。

近所の池で、バラタナゴ狙いで釣りをすると釣れるのはほとんどがクチボソ。
ちぇっクチボソか、とリリースしていました。

クチボソの本名はモツゴ。
雑魚扱いしていましたが、「池の水ぜんぶ抜く」を観ているとブラックバスやブルーギルなど外来魚に追われ今や少数派のように見えてきます。

環境適応力は強い魚ですが、フナのようには巨大化しないので存在感があまりないせいでしょうか。

クチボソは産卵後、雄が卵の世話をします。
外敵から守ったり、ゴミを取り除いたり。
だから悪条件でも繁殖できるんですって。
でも卵のお世話はしても、稚魚は捕食していまうという不条理。
飼育している場合は、卵のお世話をする雄を観察した後はすぐ引き離さないといけませんね。

コイは在来種かと思っていたら殆どが外来種

「池の水全部抜く」では、よくコイも登場します。
扱いは「外来種」です。
我々がよく目にするコイはほぼ全てが外来種です。

日本には在来種のコイもいます。
でもそれらは、外来種の台頭で交雑種になっていき、今ではごく限られた場所(琵琶湖、四万十川等)にしかおらず、絶滅の危機に瀕しています。

外来種のコイと比較して、在来種の特徴としては、丸太状の胴体と警戒心の強さ。

一瞥で見分けるのは難しそうですが、在来種のコイは非常に警戒心が強く、それでも飼育していれば人馴れはするようですが、よくいる池のコイのように「餌くれ」と水面に出てきても、餌をもらえないとすぐ逃げていくそうです。

研究が進むにつれ、コイの外来種と在来種は遺伝子的に別の種類といえるほど違っていることがわかってきました。

ウシガエルは家族だったけど外来種しかも食用

池の水ぜんぶ抜く?かいぼりで出てくる外来種と在来種について

ウシガエルも外来種です。
1918年、アメリカから食用として日本にやってきました。
食用ガエルとして輸出用に、国内で養殖されていた時期もありました。
ちなみにアメリカザリガニは、このウシガエルの餌として日本に持ち込まれました。
私は近所の池で捕ったウシガエルの巨大オタマジャクシをカエルまで育て、池に戻したことがあります。
「ケロタン」と名付け愛したそのウシガエルの、お腹の柔らかい感触を覚えています。
何十年も前の話です。
自分が愛した生物が外来種として駆除されるのは悲しいことですが、在来種が駆逐されてしまうのも悲しいことです。
ウシガエルは巨大で、食べる餌の量もハンパなく、トンボのヤゴなんかも皆食べられちゃいます。

ワニガメはラスボスっぽいけどアメリカでは?

「池の水ぜんぶ抜く」でもたまに登場して、でもなかなか捕獲できないラスボス感満載なのがワニガメです。

池の水ぜんぶ抜く?かいぼりで出てくる外来種と在来種について
夜行性のカメで、アメリカ原産。
文献上では140キロとか180キロとかって記録があるとか、超巨大化する肉食性の強いカメです。
日本では一時ペットとして流行し、飼いきれなくなったものが野生化して問題になりました。
何が可愛いのかわからない、という方もいるかもしれませんが、子ガメのときはかわいいんだと思いますよ。
いや、大人もかわいくない、とも言いきれない…?主観ですからねぇ。

その後、飼育には自治体の許可が必要とされる「特定動物」に認定されたことで、国内での流通量は減りましたが、野生化してしまったものはそのままです。
一方原産地のアメリカでは、環境の変化や、ペットとして流行して乱獲されてしまったことから数を減らしているそうです。
原産地では数を減らしている、最近よく聞く話ですが、本当に皮肉な話ですね。
流行に飛びつく前に、よ~く考えた方がいいですね。

どうしても外来種は「強く」在来種は「弱い」イメージになってしまいます。
強い外来種しか残らない、というのが本当なのかもしれません。
「葛」や「わかめ」は海外では「外来種」としてあちらの在来種を苦しめているようですね。
どこまで人間が介在するか、というのも難しい問題です。
コンテナについて海を渡ったものと渡り鳥が運んだものの違いは何でしょうか。
ペットや食用として持ち込まれた生物の野生化が一番大きな要因になっているようです。
外来種を悪者として扱うのではなく、持ち込んで無責任に放してしまった者としての責任が問われるのは人間ですね。
かいぼり、または「池の水ぜんぶ抜く」、懐かしい面々と再会して、色々考えさせられます。

井の頭公園かいぼり進行中!

子供たちに愛される外来種

定着したら怖い外来種?

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