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エリザベスカラーが必要な理由を考える
猫と暮らしていると、多くの場合、エリザベスカラーが必要となるシーンに直面します。理由としては、
- 避妊・去勢やその他の手術後のペロペロ防止
- 皮膚疾患のペロペロ防止
- 心因的なペロペロ防止
- 爪切り
こんな感じでしょうか。
ほとんどの場合が1か2の病気やケガの治療のためかと思います。いかんせん猫の舌はザラザラのトゲトゲなうえ、猫という生き物は気になるものを徹底的になめるというやっかいな性質があります。
この性質は3の「心因的」なケースにも関係し、たとえばうちの猫は何かしらのストレスが溜ると前足の同じ部分ばかり舐めるもので、ひどいときはツルツルになるほどです。
4の爪切りというのは、カブリとしてくる猫(うちの猫)のとくに前足の爪切りは難儀で、保定してくれる人がいない場合、エリザベスカラーなしではできません。
爪切りのケースを除けば、エリザベスカラーの役割というのは、結局猫が幹部を舐めないようにするためなので、これを防げるなら絆創膏や洋服でいいわけです。
猫に適した術後服の条件とは?
服飾アイテムが揃うワンちゃんとは違い、猫の服となると選択肢は限られます。もちろん、「術後服」として市販もしくはオーダーで販売されているものなら間違いはなさそうです。
ただ、術後服が必要となるシーンは一時的なものであることが多く、そこで高額な市販品やオーダー品を購入するのはちょっと・・・とケチな私は思うわけです。そうなると、もう自作するしか選択肢はありません。
では、自作するにあたって、猫の術後服に必要な条件とは何でしょうか。
患部をしっかりカバーできるか
最も大切なのは、手術だったり、ケガあるいは皮膚病だったりでカバーしたい箇所をしっかり覆えるか、という点です。
エリザベスカラーは猫の動きを制限することで患部をカバーしますが、術後服は、一部のケースを除けば、患部の方をカバーするものです。避妊手術なら下腹部をしっかり覆う必要がありますが、背中側はスカスカのおぼっちゃまくんスタイルでもいけそうです。
猫が動きやすいか
猫は犬よりも伸びるので、術後服にはストレッチ性が欲しいところです。静止している状態ではしっかりカバーできていた患部が、5分後には丸出しになっていた、というのは猫の術後服あるあるです。
ピチピチTシャツを着ていて、背中が丸出しになってしまった経験者は多いかと思われます。猫の術後服は、ジャストサイズよりもややゆとりを持たせるのが無難ですが、持たせすぎるとイリュージョン並の技術で脱ぎ捨てられますので要注意です。
ギミックが猫の性格にマッチしているか
マジックテープやスナップボタンなどを使って着用するサポータータイプの術後服は、サイズや着用感の微調整がしやすいので、術後服にもよいかもしれません。ただ、マジックテープの継ぎ目の引っかかりや、布地の重なり部分のヒラヒラは猫の大好物です。
執着するタイプの猫なら、簡単に外してしまったり脱いでしまったりするでしょう。このあたりは飼い主さんが一番よく理解している猫の性格に合わせて選ぶべきです。
術後服は使いながらの微調整がポイント
家具でも料理でも、自作のメリットは、自由に調節ができることではないでしょうか。猫の術後服も、ひとつ完成したらそれで終わり、ではなく、実際に使用してみてから現れるあらゆる不具合に対して微調整しながら完成させてゆくものです。
たとえば我が家の場合、
- 脱ぎ捨てる
- 患部が丸出しになる
「できた!」と喜んだのもつかの間、上記問題が発生したので、その後も試行錯誤が続きました。
手軽に自作するならミニチュアダックス用のTシャツがおすすめ
型紙って何?というレベルの人には、ワンちゃん用の市販の服を活用することをおすすめします。なかでもおすすめなのは、ミニチュアダックスフント用のTシャツタイプの服です。
長さがある
一番のポイントは、ミニチュアダックスフントの胴長の体型です。これに合わせた布の長さがありますので、調節がしやすいのです。長すぎたらカットすればいいし、足りなくても継ぎ足す布が少量で済みます。
デザインが豊富
ミニチュアダックスは人気の犬種だけに、ペットショップやホームセンターなどで扱われる洋服の種類も豊富です。猫に術後服が必要なときは、何かしらの問題があるわけで、そんな余裕はないかもしれませんが、せめてかわいいデザインのものを選ぶことで気分を上げたいものです。
リーズナブル
これは人気犬種だからというのもありますが、ピンキリの洋服の中で、デコラティブじゃないシンプルなTシャツタイプのものなら、かなりリーズナブルに入手できるというのが大きなメリットです。
そしてそのようなシンプルで安価なものの方が、切ったり縫ったりのアレンジもしやすいというメリットがあります。
ミシンなしで猫の術後服自作:我が家の場合
ここからは、私が・・・というよりは、私の母が実際に自作したときのことを紹介していきたいと思います。
先代ネコについて、未だに後悔しているのは避妊手術を受けさせなかったこと。10歳を過ぎた頃にお腹にポチっとしたものを発見し、それが度重なる手術を受けることとなる憎き乳腺腫瘍でした。乳腺腫瘍は避妊手術で防げる病気といわれていますね。
乳腺腫瘍手術では腫瘍と乳腺とを切除するため、傷は小さなものではありません。術後、お腹の傷が気になって気になって、でもエリザベスカラーを装着した途端にゴロンして一歩も動かない・・・どころか立ち上がる気すらなくなるタイプだった我が家のネコ様。
エリザベスカラーはやめ、傷をカバーする服を着せることにしました。ペットショップにいくと色とりどりの可愛らしい服が並んでいますが、みんな犬用です。
店員さんに相談しながら、猫だから身体は小さいけれど柔軟性があるし、ということでミニチュアダックス用の胴部分が長めの、柔らかいTシャツのような伸縮性のある素材のものを購入しました。
着せてみたところ、最初はイイ感じでも、動き回るうちにお腹の部分がめくれてきて傷が出てきてしまいました。そこで私の母がものの10分ほどで改造を施しました。
センスについては何も言うまい。縞々のTシャツ部分はミニチュアダックス用の市販品です。あまり凝ったものよりも、こういったシンプルなTシャツ地がいいと思います。多分1200円くらいだったと思います。
そして、パンダ部分がつぎ足した手作り部分です。よくもまぁ、いい大人だけの家庭にこんなにかわいいパンダ柄の布があったと思います。たぶんパジャマじゃないでしょうか。
ひとつ作ってうまくいったので、着替え用にもうひとつ作成してくれました(写真左)。もうパンダ柄の布がなかったみたいです。
裏からみるとこんな感じです。
すぐ作れるのも納得の、手縫い並み縫い直線のみで、ほぼ正方形にカットした布で犬がおしっこしやすいように開いているお腹部分をカバーしています。布の切れ端はかがり縫いしてありますね。
パンダの方は「やばい!何とかしなくちゃ!」と急いで作成した一作目ですが、後発品(左)は、よりお腹の傷の部分にあたる部分が柔らかい布になるよう、母の気遣いが見えます。色は還暦っぽいカラーですが・・・。
もしかしたらパンダも模様じゃなくて布が柔らかいからこれにしたのかもしれません。
とにかく先代猫はこの術後服を着て、術後のだるくてしんどい日々を何とか過ごしたのでした。今我が家にいる猫は、本人の前では言えませんが売れ残りで生後半年以上経ってからうちに来て、すぐに避妊手術を受けさせました。
避妊手術後はお腹にでっかい絆創膏を貼られて帰ってきましたが、それを舐めて剥がすこともなく、術後服の出番はありませんでしたが、今後何かの時にお世話になるかもしれないので、この母の力作はずっと大切に取ってあるのです。
これを着ていたうちのネコが激烈にかわいかったがために、この術後服も今でも激烈にかわいいです。
進化したエリザベスカラーならアリかも
自動車のワイパーがあんまり進化しないように、エリザベスカラーというものもあの大きな形状が当たり前のように考えていましたが、最近知人から愛犬の写真を見せられて衝撃を受けました。
まるで飛行機や新幹線に持ち込むエアー枕みたいでこんなの私が付けたらすぐ寝ちゃいそうです。ちょっと太すぎる首輪みたいで、これならだいぶストレス少ないんじゃないでしょうか?
形状自体は昔ながらのエリザベスカラーでも、ソフトな素材で作られていて進化がうかがえます。
術後服は用意しておくべき?
避妊手術など、予定されたものなら事前に購入しておけますね。私が猫の術後服を必要とした時は急だったため自作しましたが、ネットで検索してみると、猫用の術後服をオーダーメイドで作ってくださる方もいらっしゃいました。
現在は、ネット通販で市販されていますが、注文しても届くまで最短でも1日2日はかかります。術後服とはいうものの、手術に限らず、ちょっとしたケガなどで使うこともあるかもしれませんので、用意しておいてもいいかもしれません。
猫というものは、デビットカッパーフィールドもプリンセステンコーも顔負けの素早さで服を脱ぎ捨ててしまうイリュージョンをやってのけます。しかも、上級者になると脱ぎ捨てた服を見つけるのが困難な場所でわざわざ脱ぎ捨てます。
脱げないようにしっかりとボディーにフィットして、かつ、苦しくないようなちょうどいいサイズのものを選んであげることが重要です。猫は普段洋服なんか着せませんので、いざ必要にかられてから洋服を選ぶとなると、なかなか難しいのです。