のんほいパークのアジアゾウのマーラ天国へ

豊橋総合動植物公園「のんほいパーク」で
飼育されていた5歳11か月のアジアゾウ、
マーラが亡くなりました。

マーラの母親ゾウのアーシャーが育児放棄したため、
人工的に育てられたマーラ。

両前肢の骨折により立つことができず、
プールでリハビリを続けていましたが、
立てないことにより内蔵を悪くしたのか、
腸捻転で亡くなったそうです。

マーラはなぜ立てなくなってしまったのか

マーラは2011年9月17日生まれ。

母親のアーシャーは高齢出産でしたが無事出産。
その後育児放棄、マーラの後に生まれた子どもも、
やはり母乳があまり出ずに人工保育だそうです。

マーラは飼育係さんの人工保育ですくすく育ちましたが、
1歳の時に飼育場内でつまづき、
右前足を骨折してしまいます。

そして右前足をかばっていたために
左前足も骨折してしまうのです。

アジアゾウの子供では生後8~9か月の頃に
骨折することがあるそうで、
詳しい原因は不明なものの、
人工保育による栄養の偏りや運動不足
などによるものだそうです。

骨折自体は治療して完治したものの、
筋力が落ちて立つことができなくなってしまいました。
立つことができないと身体の重い動物は
内臓に負担がかかります。

場合によっては安楽死させることもあるそうです。

マーラのリハビリ

立つことができないマーラですが、
飼育係さん達はありとあらゆる手を尽くしました。

飼育舎の改造やリハビリの工夫。
ある時は鉄骨を組み、
マーラの体重を支える支柱を立て、
エアマットを敷き、床ずれを防ぎ、
ある時はプールに潜り、マーラを支え続けました。

競走馬や、最近では犬などのペットでも、
プール(水中)でのリハビリは
行われるようになってきました。

浮力によって足にかかる体重の負担を
軽くしながらリハビリします。

野生動物が立てないということは死を意味します。

飼育下の動物は立てないことが
即死ぬことにはつながりませんが、
動物の身体自体は野生だろうと箱入りだろうと変わりません、
重い身体が内臓に負担をかけてしまいます。

プールでのリハビリ、飼育室の調整、
食餌の管理、排せつの補助、
飼育係さん達の仕事は24時間体制です。

のんほいパークのホームページには
マーラのブログがあり、
マーラの様子が伝えられていました。

プールで玩具で遊んだり、
母親ゾウを見かけて怖がったり。
横になった状態でも玩具で遊んだり、
最初は怖かった電動工具の音にもすぐ慣れてしまったり。

立てないながらも、
アジアゾウの子供らしい好奇心でいっぱいの
マーラの様子が伝えられています。

お誕生日パーティーで
「お誕生日おめでとう」というくす玉を
割ったはいいけどビックリしてしまったり、
なんて微笑ましい動画も公開されています。

かわいいマーラ安らかに

5年11か月。
1歳で両足を骨折した後、
ほとんどの時間をリハビリで費やすことになった
マーラです。

アジアゾウらしい生としてのマーラの生は
「かわいそう」の一言で済ませてしまうにはあまりに重く、
立つこともままならない生活の中で、
周りの人々の尽力により色々なことを感じ、
遊び、愛された一生だと思います。

マーラのために試行錯誤が繰り返された飼育舎を残して、
突然マーラが天国へ旅立ってしまった今、
飼育係さん達の心中を考えると胸が苦しくなります。

「普通」の生活を送ることが難しかったマーラを
幸せなアジアゾウにしたのは
飼育係さん達の尽力以外にありません。

同じようなことが起きたとき、
マーラの残したものが誰かを救うかもしれません。

マーラよ安らかに。

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