長崎対馬で、ツシマヤマネコの調査用カメラに生きて動くカワウソの姿が映りました。
絶滅したはずのニホンカワウソの生き残りか?!と期待されましたが、DNA検査の結果、ユーラシアカワウソだということがわかりました。
韓国沿岸から流れ着いたユーラシアカワウソでしょうか。
ニホンカワウソはもういないのでしょうか。
目次
ニホンカワウソ最後の目撃と絶滅理由
ニホンカワウソはかつて日本中の河川や海辺に生息していました。
カッパ伝説のカッパはカワウソだったって話もあるほど身近な存在だったのです。
しかし、毛皮や薬の原料としての乱獲や水質汚染、また漁獲物を荒らす害獣として駆除されたりして数を減らし、1979年に高知で目撃撮影されたのを最後に姿を消しました。
もともと日本にはニホンカワウソとして、北海道亜種と、本州以南亜種とが生息していたのですが、2種とも2012年には絶滅宣言がされました。
カワウソの毛皮は現在も販売されていますが、ミンクやセーブルと同種だというのが売りみたいですね。
今ではハイブランドでさえファーフリーの流れで、本物の毛皮をファッションとする流れは途絶えています。
毛皮は、やはりそれを授かったものが身に着けている姿が一番美しいのではないでしょうか?
ニホンカワウソはユーラシアカワウソだった?
この絶滅してしまったニホンカワウソですが、そもそも日本固有種という説と、ユーラシアカワウソの亜種という説に分かれ、結論は出ないままです。
DNA検査技術が確立してからのサンプルがないからでしょうか。
では、残っているはく製の毛皮などからのサンプルでは比較できないのでしょうか?
はく製にされた動物からDNAを採取する技術はそれだけが研究テーマになるくらい難しいことで、DNAの採取はできるものの、断片的になってしまったり、貴重なはく製を傷つけてしまったりすること避けられているようです。
韓国から来たユーラシアカワウソ?
お隣の国韓国でも、日本と同じころ、やはり高度経済成長に合わせ、カワウソ(ユーラシアカワウソ)が絶滅の危機に瀕しました。
でもその後の保護活動によって絶滅を免れ、最近では釜山などの大都市でも姿が見られるそうです。
今回、ニホンカワウソかと騒がれたカワウソが発見された対馬と韓国沿岸との距離はわずか49・5kmです。
戦前から「日韓トンネル」なんて構想もあったくらいですから、晴れた日にはお互いが見通せるほどの距離です。
フルマラソンと同じくらいの距離しかないんですね。
野生動物、しかもカワウソは泳ぎが得意ですので対馬に流れ着いたことも考えられるでしょう。
今回ニュースになった対馬のカワウソ映像は、2017年2月に撮影されたものです。
その後、環境省の追加調査により、回収したカワウソの糞のDNA検査をしたところ、ユーラシアカワウソのDNAが検出されました。
この糞が映像のカワウソのものかどうか不明です。
2頭以上の個体が生息しているかも不明です。
映像に写ったカワウソが現在どうしているのかも不明です。
わからないことばかりです。
でも糞のDNAがユーラシアカワウソのものだったとして、そもそも昔からいて絶滅したとされるニホンカワウソがユーラシアカワウソの亜種だったという説をとるなら、ニホンカワウソの生き残りという言い方も間違いではないことになっちゃいます。
系統とか、細かいDNA検査で韓国由来ということまでわかったのでしょうか。
日本に野生のカワウソが存在する事実
九州ではツキノワグマは絶滅したと言われています。
しかし目撃情報は絶えず、登山者が撮った写真でも「どう見てもツキノワグマ」が撮影されています。
しかし、現在九州に生息しているツキノワグマは、DNAをたどると本州から渡ったツキノワグマで、だから九州原産のツキノワグマは絶滅したことになっています。
真面目な分類をするとそのような結論となりますが、九州には確かに絶滅したはずのツキノワグマが生息しているのです。
ややこしいですね。
でも絶滅したはずのツキノワグマが生息しているのは嬉しいですね。
カワウソも、絶滅したはずの正真正銘ニホンカワウソが対馬の山の中でひっそりと種を繋いでいたのならこんなにうれしいこともないけれど、ユーラシアカワウソが韓国から流れ着いたのだとしてもそれは野生の自然な姿なのだし、結局どちらにせよ野生のカワウソが生きているってことが肝心なんでしょうね。
でもまさかの飼育されていた個体が逃げ出したなんていうことはないでしょうか?
コツメカワウソは最近ペットとして人気があるようですが、コツメカワウソは小さいので違いはすぐわかりそうです。
那須にもニホンカワウソ?
栃木は那須、余笹川でもカワウソに似た動物の目撃情報が相次ぎました。
糞や足跡、定点カメラやドローンからの調査を行った結果、カワウソよりは外来種のアメリカミンクの可能性が高いとのこと。
このアメリカミンク、いわゆるミンクなのですが、生息環境やルックスがカワウソそっくりです。
毛皮用に養殖されたものが逃げて野生化し、群馬や福島でも繁殖が確認されているので、那須にいることも考えられますね。
特定外来種に指定されています。
ユーラシアカワウソを飼育している動物園
- よこはま動物園ズーラシア
- 上野動物園
- 井の頭自然文化園
- アクアマリンふくしま
- 宮崎フェニックス自然動物園
- 高知県立のいち動物公園
- 新潟マリンピア日本海
- 富山市ファミリーパーク
- 広島市阿佐動物公園
※生体です。
動物の体調や動物園の都合により展示していないこともあるかもしれません。
繁殖のためにも結構あちこち行き来しているようです。
訪問前にご確認を!
ユーラシアカワウソはコツメカワウソよりも飼育している動物園が少ないですね。
実際にユーラシアカワウソを目にするとコツメカワウソよりもだいぶ大きくて驚きます。
コツメカワウソは水族館でも多く飼育されていますが、ユーラシアカワウソは動物園が多いですね!
私はズーラシアと上野動物園、井の頭動物園とマリンピア日本海、アクアマリンふくしまに行ったことがありますが、ユーラシアカワウソの記憶はアクアマリンふくしまだけです・・・。
こんな動物が日本にも野生で暮らしていたのかと思うとワクワクしませんか?
その辺をカワウソがウロチョロしていた日本、どんなだったんでしょうか。
対馬のカワウソがうまく繁殖したらどうなるのでしょうか。
生物多様性の大切さが説かれている時代です。
絶滅した動物たちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
これ以上絶滅動物図鑑に載る動物が増えませんように。
推しウソを推せ推せ!
ニホンカワウソの悲劇を繰り返さないために