グーグルが放つ蚊に感染させ不妊化するボルバキア菌はどんな菌?

グーグルの子会社が、カルフォルニアの住宅街で、不妊化するためにボルバキア菌に感染させた蚊の雄を放ちました。
ジカ熱で話題になったジカウイルスを媒介するネッタイシマカを減らす目的で、冬までに2000万匹を放つ予定だとか。

2011年以降、デング熱制御のために、オーストラリア、ブラジル、ベトナム等でも試行実験が行われています。
蚊,ボルバキア

ネッタイシマカとボルバキア

ネッタイシマカを不妊化するために、ボルバキアという細菌に感染させるそうです。
このボルバキア菌、もともとアカイエカという蚊の種類から発見された菌で、節足動物やフィラリア線虫の体内に生息、
生殖活動に影響を与えることで知られています。
成熟卵に存在し、成熟精子には存在しないので、雌だけが子孫を残せます。
今回グーグル子会社がボルバキア菌に感染させた雄を放っていますが、ボルバキア菌に感染した雄と感染していない雌との間の子(卵)は孵化できないんだとか。

フィラリアとボルバキア

犬を飼っている人なら誰でも知っている気持ちの悪い虫、フィラリア。
犬の心臓に寄生する線虫です。
このフィラリアも体内にボルバキア菌をもっていて、このボルバキア菌を除去するとフィラリアの成虫は死んでしまうことから、最近のフィラリア治療では殺虫剤ではなく抗生剤でこのボルバキア菌を除去するという方法がとられるそうです。
殺虫剤だとフィラリアがいっぺんに死んでしまうので血管に詰まってしまいますが、抗生剤だとそれを防げるとか。
フィラリアがボルバキア菌を持っているなら、蚊のように生殖能力を失ってしまって結果的にはいいのでは?と思いますが、このボルバキア菌、利己的細菌と呼ばれるだけあって自身の都合のいいように働くようで、相手によって与える影響が違うようです。

ボルバキア菌をばらまいて大丈夫なのか?

今回の実験では、ボルバキア菌に感染した雄を放ちますが、雄の蚊は刺さないので動物やヒトへの影響はない、と言っていますが、食べちゃっても大丈夫なのでしょうか?
トンボやツバメやカエルは蚊の成虫を食べます。
テントウムシ、ガ、チョウ、ハエなどではボルバキア菌によるオス殺しが見られ、ダンゴムシやキチョウではメス化が見られるそうです。
ボルバキアは一般的な昆虫の60%が保菌しているそうです。
影響がないとは言い切れませんが、結局やってみるしかないのでしょうか?

2011年頃からこのボルバキア蚊を放つ実験が行われていますが、まだ6年、生態系への影響を観察するには経過した時間は短すぎるでしょうか。

もしかしたらボルバキア菌によってフィラリア勢力が強くなるかもしれません。
そもそもフィラリアは怖い線虫ですので、治療よりも予防に力を入れた方がいいのでしょうが。

過去には放射線による不妊化も

1950年代のアメリカでは、家畜に寄生する「ラセンウジバエ」を、さなぎの時に強い放射線を照射して不妊化する、という研究をしており、沖縄でも農作物の害虫対策に行われていました。
しかし放射線だとムシの交配能力まで奪ってしまうため、一匹当たりの効果が低い。
そこでボルバキア菌です。
交配させながら、繁殖能力のない個体を増やす。
殺虫剤を使用すると殺したくない虫まで殺してしまいますが、ボルバキア菌は同種間でしか交配しないから、農薬よりは生態系に与える影響が少ないとか。

日本も他人事ではない

日本にはネッタイシマカはまだいません。
しかし温暖化、むしろ熱帯化?の影響で、本来日本にいなかった動植物がどんどん入ってきています。
水際作戦で防げればよいのですが。
ジカウイルスに限っていえば、ネッタイシマカはいなくても、本州以南に生息しているヒトスジシマカはジカウイルスやデングウイルスを媒介する蚊です。

このボルバキア大作戦、海の向こうの話だと他人事ではなく、日本でも真剣に考えなくてはならない問題だと思います。
実験の経過に注目したいです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする