アメリカの神経科学者が、犬をMRIにかけて調査して、犬にも感情があることを確認したそうです。
普段から犬と一緒に過ごしている人には何を今さら感が否めない感じですが、あくまで科学的に「確認」したわけです。
しかも犬をMRIにかけるってすごい!どうやったのでしょうか。
犬をMRIにかけるための訓練
犬の感情について調査するとき、まずハードルになるのが犬にどうやってMRIを受けてもらうか、ということでしょう。
理屈を理解できるニンゲンですら、MRIが苦手な人というのも多いものです。
あの閉塞的空間、あの大きな音、逃げ出したい気持ちになってしまいます。
麻酔をかけてはどうか?
犬の感情についての調査ですから、犬が眠っていてはダメなんですね。
犬が感情を表現できる状態でMRIに入ってもらわなくてはなりません。
科学者が行ったのは、MRIの環境を自宅で再現すること。
音を録音して、自宅で犬と遊びながらまずは小さい音から慣れさせて、徐々に音を大きく、実際のMRIの音量まで慣れさせていきました。
調査対象が一頭だけでは調査になりませんので、協力してくれる犬(飼い主さん)を募り、1年かけて上記の訓練を行って20匹の調査対象を作り出したそうです。
犬の脳には人間の脳に対応する部位がある
ドーパミンがドバドバ出る、なんて言葉を聞きますが、ポジティブな感情の時に活発に活動する、尾状核という部分が
人間と同じように作用していることがわかりました。
これが犬と人間と共通する部分になります。
では共通していない部分は?
一番は言語に関する部分でしょう。
犬が人の言葉に反応して何か行動するとき、言葉の内容ではなく音や特定の行動と結び付けているだけで、言葉の内容を深く理解しているわけではないそうです。
そんなことない!通じ合っている!という異論がたくさんありそうですね。
愛とおやつ、どっちが好き?
飼い主さんに褒められることとおやつを貰うこと、どちらを犬は好むのでしょう?
本当のことを知りたくないような気もしますが、実験では、大半の犬が両方同じくらい好き、という結果でした。
しかし中にはおやつを選んだ子もいたし、飼い主さんを選んだ子もいたそう。
おやつを選んだ子の飼い主さんの落胆が想像できます。
犬は悲しみのない世界に生きている
カリスマドッグトレーナーとして有名なシーザー・ミランさんは犬には「悲しみ」の感情はない、とはっきり言っています。
これを理解するには彼の訓練の方法や著書を読んで時間をかけなくてはなりませんが、ざっくりいうと犬はいつでも「今」を生きているから、今起きた何かが将来ああなって私は悲しい、という人間のような想像力から起こる悲しみという感情がない、ということではないでしょうか。
子供が粗相をして「コラ!」と怒られて、悲しい感情に結びつくのは「この前も怒られたばかりなのに・・・」とか、
「またやっちゃったらどうしよう」とか、過去や未来についてまで考えが及んでしまうからなのかもしれません。
犬は「コラ!」と言われたら「これはいけないことなんだ」と受け取るだけです。
犬が悲しんでいるように見えるシーンというのは度々遭遇しますが、その悲しみも人間が勝手に押し付けた感情なのかもしれません。
シーザー・ミラン氏は決して犬をディスっているわけではなく、むしろとてもポジティブに彼らを理解しているトレーナーだと思います。
MRIを使った調査では、今後犬の学習能力などについても調べていくそうです。
身近だけどまだまだわからないことがいっぱい!
猫の調査もやってほしいけど、猫にMRIを受けさせるのは・・・難しそうですね!