寒くなってくると、ネコの結石や膀胱炎が多くなります。我が家のネコも例外ではなく、トイレに出たり入ったりを始めました。療法食(維持食)のロイヤルカナンPHコントロール2しか食べさせていないにも関わらずです。すぐにかかりつけの動物病院を受診しました。猫がトイレに出たり入ったりしているとき、飼い主は何をチェックするべきなのでしょうか?
目次
トイレは清潔で快適?
猫がトイレに何度か出たり入ったりしているとき、ネコトイレに問題がないか、確認してみましょう。
たとえば、ネコは便に砂をかけて隠しますが、それが猫の気が済むようにうまくいかかったとき、何度か繰り返しチェックしにトイレに足を運ぶことがあります。
うちの猫は変なところ完璧主義で、彫刻家が少し離れた位置から作品を眺めるかのように何度かトイレから出てまた戻って砂をかけることもあります。
そこに割って入って作品を取り除いてしまえばすぐに作品のことは忘れてくれます。
猫が排便したらすぐに掃除するか、いつでも猫が気が済むまでかけられるのに十分な量の清潔な猫砂がある状態をキープしてあげたいものです。
猫砂を変更していませんか?
慣れているいつもの猫砂を新しいものに変更したとき、気に入らないという可能性もあります。
シリカゲル系や紙系、システムトイレ用チップなど、使用感がかなり違う猫砂もありますので、突然変わってしまうと猫は困ってしまいます。
同じシステムトイレ用のチップでも、粒のサイズが変わると使用感も変わるので、気にする猫ちゃんも多いみたいです。
チップ・猫砂の変更をしたいときも、段階を踏んで、今まで使用していた猫砂に新しいタイプのものを混ぜていき、その分量を段階的に増やすなどして猫が馴染みやすい環境をつくってあげるとうまく適応しやすくなります。
トイレそのものの変更
猫の使っているトイレそのものも、いろいろなタイプのものがありますね。
大きなタッパーなども猫トイレとして使えますし、市販されている猫トイレでも、カバーのあるもの、ないもの、その中間くらいの高さのカバーがついているものなど。
特に、今までカバーなしだったのにいきなりカバー付きのトイレに変更したり、その逆だったりすると猫は戸惑ってしまって落ち着いてトイレできません。
猫トイレ設置位置の変更
同じ部屋内での数メートル程度の移動なら気にしない猫も多いかもしれません。
今までリビングルームにあったのを洗面所に移動したり、1Fにあったものを2Fにしたり、といった大移動は計画的にすすめる必要があります。
そういうときは引っ越し先に別のトイレを用意したり、毎日少しずつ位置をずらしていくなど、猫がトイレに行きたいときに行けない状況を作らないようにしなくてはいけません。
多頭飼いや留守番時のトイレの数
2頭以上の猫ちゃんがいる場合、頭数+1のトイレの数が望ましいと言われています。
多頭飼いでなくても、留守にする時間が長くてトイレ掃除をすぐにしてあげられない場合、トイレが2つあると安心です。
我が家も、法事で親戚一同が丸一日不在にしたときは、プラスチックの収納ケースに猫砂を敷いた手作りトイレを1つ増設していきました。
尿の量:ポタポタは要注意
トイレに出たり入ったりする理由の一つが、膀胱炎による残尿感が解消できないから、というものです。
何度トイレに行ってもすっきりしない!だから何度もトイレに行っちゃうんですね。
トイレの砂やシートを確認して、尿が十分な量出ているかチェックしましょう。
一番怖いのは尿が出て来なくなってしまうことです。
全く出ないのはもちろん、しゃがんでいるのにポタポタ程度しか尿が出ないのも異常です。
尿量を確認するには、ネコ砂のみのトイレだとちょっとわかりにくいかもしれません。
その点、システムトイレだとすのこの下におしっこだけが落ちるのでわかりやすいです。
マットのかわりに犬用のペットシーツ、特に白いものを使うと色や量などがよりわかりやすくなります。
それが普通なのか異常なのかわからなかったら、そのまま使用済みのペットシーツを動物病院へ持参してもいいと思います。
尿が出ないのは一番危険な状態で、特に尿管が細長い雄のネコは尿閉塞になりやすいので、いつもより尿が出ていないと思ったら迷わず動物病院へ連れて行ってあげてください。
尿の色はいつも通り?
尿の色はどうでしょうか。
血が混じっていないでしょうか?
濃い茶色、錆色のような場合は要注意です。
真っ赤ではなくても実は血尿だったりすることもありますので、不安を感じたら採尿して病院に持参することをお勧めします。
うちの猫も赤というよりは錆色のような血尿が出ました。
尿全体が錆色になることもあれば、尿の一部分だけが濃い色になることもあるので、普段からおしっこの色や量のチェックは習慣化しておくといいと思います。
おしっこしながら鳴く?
膀胱炎や結石などで排尿時に痛みがあるときは、おしっこのときに鳴く猫もいます。
甘えるときとは明らかに違う、うなるような悲痛な鳴き声を出すことがあるので、そういうときも何かしら異常があると考えたほうがよさそうです。
トイレ後に鳴く「トイレハイ」とは違って、おしっこをしている最中やおしっこ前のトイレの周りでソワソワしながらの訴えるような鳴き方、うなるような鳴き方をしているときは様子をよく見ていてあげましょう。
上手な採尿方法
猫の尿関係で動物病院を受診する場合、全然おしっこが出ない、という場合を除いてはおしっこを持参しましょう。
システムトイレの場合、シーツやマットを敷くべきトレーに何も敷かずに尿をためて、シリンジで吸ってそのままシリンジごと持参すれば手軽です。
だいたいいつも同じ位置におしっこをするタイプの猫ちゃんの場合、その位置に魚や肉が入っていたトレーを敷く、という手もあります。
そのトレーに溜まったおしっこを取れば、システムトイレのトレー全体を洗うより楽ですね。
ちなみに、おすすめできませんが私が強いなぁと思った採尿方法は、ペットシーツに普通におしっこさせたものを人間が手で絞るというもの。
猫がおしっこしている最中にお玉で受けるという強者もいました。
システムトイレじゃない場合、この方法を応用して、魚や肉用のトレーをさっと差し出すのもいいかも?猫が落ち着かなくて嫌かな。
検査のための尿は新鮮な方がいいので、できれば病院に行く直前に出たものが望ましいのですが、むずかしいかもしれませんね。
こればかりは、通院するタイミングはできるならニンゲンの都合よりも猫のおしっこに合わせるしかなさそうです。
猫の採尿容器
システムトイレのトレーなどから尿を吸い取り、動物病院へ持っていくには容器が必要です。
吸い取るシリンジは、ストルバイト持ちだということが発覚してから「次の尿検査用にください」といって動物病院でもらって常に手元にキープしています。
シリンジがなかったとき、スーパーでお弁当用のしょうゆ入れを買って使ったこともありますが、これも意外と使い勝手よかったです。
100均などでも化粧品コーナーにスポイトやいろいろ使えそうなものがありますので、余裕があるときに調べておくといいかもしれません。
正常な猫のおしっこの回数
一般的に猫は1日に2~3回おしっこをします。
うちの猫はストルバイト持ちなので、ロイヤルカナンのPHコントロール2を食べていて、こういった療法食は猫の飲水量を増やす効果があるため、少しおしっこも多いかもしれません。
明らかなに様子がおかしいときは、寝ているときはずっと寝ているのに、
起きてトイレに行く→寝ようかな(寝ない)→またトイレ→寝ようかな(やっぱまだ寝ない)→もう一回トイレ
とこんな感じで出たり入ったりしていますので、ストルバイトを疑います。
血尿や頻尿の治療とサプリ
我が家のネコの頻尿(トイレを出たり入ったり)は、トランサミンの投薬で治療します。
トランサミンは私が風邪を引いて喉が痛いときにも処方されますが、粘膜を強くする薬で、鎮痛作用はありません。
トランサミンが膀胱の粘膜を強くしてくれるわけです。
うちの猫はストルバイト持ちなので、ストルバイトが膀胱の粘膜を傷つけ出血してそれが血尿になってしまうんです。
お腹のチクチクが直接緩和されたというわけではないのでしょうが、トランサミン投与後2日後には完全にトイレは平常運転に戻りました。
もっと重症だったとき、1日中トイレを出たり入ったり、というときはブスコパンを処方されたこともありますが、こちらは鎮痛剤ですので使用には注意が必要です。
トランサミンもブスコパンも、よく人間にも処方される薬ですが、猫には用量が違いますので自己判断で与えないようご注意ください。
ちなみに、ネコの膀胱炎はヒトと違って細菌感染を伴わない場合も多いので、抗生物質を使用しないことも多いようです。
ウロアクト
ちょっと高価ですが、人間にも使われるウラジロガシのサプリは効果が高いようです。
我が家ではウロアクトを非常持ち出し袋の中にも入れてあります。
緊急避難時に、療法食のキャットフードがすぐに手に入るとは限りませんので・・・
ちなみに、我が家の猫はこれを手のひらにのせて「ほれ」と差し出すと、普通におやつかフードのようにカリッと食べちゃいます。おいしいの?
薬ではないので、症状が出ているときにウロアクトで治療というわけにはいきませんが、猫の結石対策として予防的に飲ませている人は多いようですね。
ウラジロガシとは
ウロアクトの主成分ウラジロガシ。
日本にも自生しているブナ科の広葉樹です。
北限は新潟or宮城、南は沖縄まで分布していて、葉っぱの裏側が白いのでウラジロガシ、漢字で書くと裏白樫です。
ウラジロガシの木は木材としても使用され、葉っぱは煎じて飲むと尿路結石や胆石に効果があるといわれています。
抽出したエキスは医薬品の成分にもなっていて、人間の治療にも使われています。
いくら砂漠出身のリビアヤマネコから進化したからといって、数千年も経ったなら腎臓系がウィークポイントだという部分も進化していていいんじゃないの?と思います。が、現状、猫はそういう動物です。寒い時期は特に多くなる結石、膀胱炎。毎日のトイレチェックで重症化する前に見つけてあげたいですね。
結石はキャットフードで防げる?
ストルバイト猫が増えていると実感しています