ジャコウネコの糞から作る高級コーヒー、コピ・ルアク。
一杯数千円というから驚きです。
ゾウの糞から作る高級コーヒー、ブラックアイボリー。
こちらもコピ・ルアクに劣らず高級品なのです。
それにしてもどうして人間は、動物の糞の中のコーヒー豆からコーヒー飲みたがるんでしょ?
コピ・ルアクはハクビシンコーヒー?
日本でも有名なコピ・ルアクですが、ジャコウネコが食べて消化されずに排出された糞の中から取り出したコーヒー豆から作られます。
コーヒー豆として使用するのは種の部分なので、外側の果肉部分はジャコウネコが消化してしまっているわけです。
しかもジャコウネコの腸内細菌のはたらきでカフェインの含有量が減るんだとか。
コーヒー豆ってそのままだと甘くないし硬くて美味しくなさそうなのですが、ジャコウネコは喜んで食べてくれるのか疑問だったのですが、野生種のジャコウネコには熟したコーヒーの果実を食べるものもいるんですって。
ジャコウネコは猫というよりもイタチやタヌキに似ているからでしょうか、以前は「いたちコーヒー」とか「タヌキコーヒー」とか、自由な感じで色々な呼び方をされていたようです。
ちなみに日本で最近住宅街にも出没してしばしば話題になる「ハクビシン」はジャコウネコの仲間です。
私も横浜駅近くのオフィスビル街で出会ってびっくりしました!
実はハクビシン、日本に生息する唯一のジャコウネコ科の動物なのです。
本場インドネシアでのコピ・ルアク農園は、しばしば偽物騒ぎになったり、ジャコウネコの飼育環境が適正ではなかったり、問題になることもあります。
タイマイや象牙のように、高級品扱いされる商品になってしまう動物達の不幸はなくなってほしいですね。
日本国内で、在来種だか外来種だかはっきりわかっていないというハクビシン、害獣扱いされるケースも増えてきているというから、処分するくらいならハクビシンコーヒー作った方がいいんじゃないでしょうか。
もちろん適性な飼い方で!
高級なブラックアイボリーコーヒーは象コーヒー
コピ・ルアクと同じ原理でゾウの糞から取り出したコーヒーがブラック・アイボリーコーヒーです。
ゾウは1日に50kgもの糞をします。
この大量の糞を有効に使わなければ勿体ないですし、糞の処理にも時間と手間とお金がかかりますから、タイのゾウ保護センターのゾウさん達はブラックアイボリーコーヒーで自分たちの餌代くらいは稼いでいるかもしれませんね。
アフリカでは「サバンナ・ティー」として、ゾウの糞のお茶を飲むそうです。
安心してください、新鮮なものではなく、1年ほど乾燥させてから煮出したものを飲用するそうです。
漢方チックな効用がありそうですが、実際に民間薬として用いられているとか。
江戸時代には日本でも疱瘡に効く、との触れ込みで、ゾウの糞を乾燥させて作った薬が売られていたそうです。
現代に生まれて本当によかった!
ゾウの糞が紙になる
近い時代に完全にペーパーレスな社会になると思っていましたが、なりませんでした。
意外と大量のペーパーが、毎日消費されていきます。
ゾウの糞にはたくさんの繊維質が含まれていて、それらから紙が作れるのです。
木材を必要としない紙です。
上野動物園や市原ぞうの国などでは、象糞ペーパーが使用されているそうです。
当然ですが、臭いや色など、糞っぽい要素は残っていませんのでご安心ください。
象糞ペーパーの作り方
材料:ゾウの糞・水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)・古紙・のり
- ゾウの糞を水に浸けておく(1週間)
- お鍋に糞と微量の水酸化ナトリウムを入れて1~5時間煮込む
- ざるにあけて固形のところを洗う
- 繊維部分だけを取り出す
- シュレッダーしてある古紙と糞繊維をミキサーにかけてのりを加える
- どろどろになったら水に浮かべたすき板に流し込む
- 布などで水分をふき取ってアイロンをかける
懸念事項
- ゾウの糞の入手方法
- お鍋やミキサーは微生物学的に綺麗でも気分的に再利用したくない
- ちゃんと均等に漉けるかなぁ
OA用紙のように滑らかではないでしょうけれど、自分で漉してつくった紙はさぞかし尊いでしょう!
ゾウ糞メタンガスで自給自足?
ゾウの糞から作れるものは、コーヒーと紙だけではありません。
メタンガス(バイオガス)も作れちゃうのです。
タイではゾウの糞から作ったメタンガスで、調理を行っているそうです。
アメリカのデンバー動物園では、園内の移動に使用するトゥクトゥクの燃料をゾウのメタンガスにしています。
フランスの動物園では、ゾウやパンダの糞や園内で出るゴミからバイオガスを発生させ、園内の自家発電やガス供給に使用し、余った電気は電力会社に売電してるとか!
進んでますね~!
日本ではゾウさん堆肥としてゾウ糞活用中
では日本ではどうでしょうか。
日本では、メタンガスを発生させるよりは、堆肥にして使用するのが盛んなようです。
ゾウの糞に納豆菌や乳酸菌を加え発酵させるといい肥料となるようで、「ゾウさん堆肥」として10kg600円くらいで売られているものもあります。
この「ゾウさん堆肥」、秋田県の大森山動物園とバクトマテリアル社の共同研究で作られ、動物園では無人販売コーナーもあるようです。
農家でも使われているとか。
ゾウさんとお米、というとタイ米を想像しますが、日本米でも有効利用されているなら素敵なことですね。
JRは線路に飛び出してしばしば電車を止めるシカ対策に、レールにライオンの糞尿の臭いを抽出させたものを撒いたら効果てきめんだったらしいですね。
(その後効果が薄れたとか)
英国ではライオンの糞が売られていて、お庭大好きイギリス人が猫避けに使用するらしいですが、ネコはライオンの糞を「人間が撒いたライオンの糞」とちゃんと認識しているとか。
食べたら出るものですから、それを有効利用するのは人類の宿題でしょうか。
うちのネコからコピ・ルアク作ってみようなんて夢にも思いませんが!