三重県の鳥羽水族館で飼育されているダイオウグソクムシが2年ぶりに糞をしたとニュースになりました。ダイオウグソクムシといえばお食事をすればニュースになり、排せつすらニュースになるというジャイアントパンダ以上のニュース的にホットな生き物かもしれません。もはやすっかり有名なダイオウグソクムシですが、みなさんはどれくらいダイオウグソクムシのことを知っていますか?
ダイオウグソクムシはこんな生き物
ダイオウグソクムシはフナムシの仲間。似てる。
体長20cm~40cm、50cmになるものも。
体重はなんと1kgを超える。
虫として1kg以上の体重というとなんだかすごい迫力だが、エビやカニなどを想像すると1kgなんてたいしたことないと思えるふしぎ!
でもエビでもカニでもなくダンゴムシいやフナムシの仲間です。
ちなみに日本近海に住む仲間は私たちが知っているフナムシサイズのもいるらしい。
歩くだけでなく、泳ぐこともできます。
体が大きい割に小食で有名ですが、自然界では海底に沈んだ生物の死骸などを食べているらしく、深海の掃除屋の異名があるとか。
だから常にエサがある環境に暮らしている生き物とは違って、ある程度の絶食に耐えうるように進化したのでしょうかね。
グソクムシの名前の由来は武士の具足(甲冑)からだそうです。
鎧に覆われたようなボディもかっこいいですが、迫力のある眼もかっこいいですね。
トンボやハエ、ハチなどと同じ複眼で、節足動物としては最大級の複眼です。
ダイオウグソクムシの脱皮
脱皮をする生き物にとって、脱皮に失敗して命を落とすことはままある危険な行為なのかもしれません。
が、ダイオウグソクムシに関してはその危険が高すぎるようです。
彼らが脱皮に失敗して死んでしまったというニュースがしばしばありますが、ダイオウグソクムシの脱皮の成功率はとても低く、世界で5例ほどしかないんだとか。
ダイオウグソクムシは一気に全身脱ぎ捨てるような方法ではなく、まず下半身、次に上半身と2段階方式で脱皮を行います。
脱皮はものすごくエネルギーや神経を使う行為なので、負担や危険を減らすために2段階に分けていると考えられています。
半分脱皮したらすぐ次、というわけでもなく、長い時間がかかるそうですよ。
2年ぶりのフンはいつ食べたエサ?
今回2年ぶりに排せつした個体はどの個体なのか判別ができないということでした。
以前鳥羽水族館で飼育されていたダイオウグソクムシは、5年以上絶食した後に死亡したものの、身体の状態は痩せ衰えているようなこともなく、死因は餓死ではなかったとのこと。
解剖したところ、体液には酵母菌に近い菌類が含まれていて、これがニンゲンでいうところの腸内細菌的なはたらきをしているかも、とまだまだわからないことがたくさんありそうです。
4か月間エサを食べることなく死んだダイオウグソクムシを解剖したところ、消化管内に消化されていない魚が106g残っていたというからとんでもなく省エネにできている生き物です。
ちなみに、新江の島水族館では飼育しているダイオウグソクムシに3か月に1度サンマやイワシを与えているそうですよ。
こちらはサンシャイン水族館が撮影したレアなお食事シーン。
食べているのはサバだそうです。
ダイオウグソクムシはおいしい?
ダイオウグソクムシが食べないのはもはや有名ですが、ダイオウグソクムシは食べられるのでしょうか?
ダイオウグソクムシではなく、小型のグソクムシは味噌汁や素揚げにして食べられることもあるようで、都内のレストランなどでも食べられるとか。
猟師さんが船の上で丸焼きにして食べるとか聞いたことがありますが、これもグソクムシでしょうか?
ダンゴムシとかフナムシとかいわれると食欲が失せますが、見た目はむしろシャコっぽいのでサソリとかコオロギとか食べるよりは抵抗が少ないのではないでしょうか?
では、大きなダイオウグソクムシはどうなのでしょう。
「臭い」とか「食べるところが少ない」とかいう声もありますが、実際に食べたことがある人の感想としてはそれほどひどいものでもないようです。
甘エビのようだとかいいます。だったら甘エビでいいかもしれません。
ダイオウグソクムシのいる水族館
以前は見向きもされなかったダイオウグソクムシですが、変な生き物ブームが起き、その絶食ぷりが人気を呼び、現在ではぬいぐるみが販売されるほどの人気者です。
スナネコやジャイアントパンダよりもたくさんの施設で飼育されていますよ。
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みんな大好きダイオウグソクムシ。エサを食べたり排せつしたりがニュースになる生き物は他にいないかもしれません。鎧をまとい、武士は食わねど高楊枝・・・ってやせ我慢しているわけじゃなさそうですが。お近くの水族館でぜひかっこいい彼らの姿を観察してみてください。