彦根城のお堀に暮らすハクチョウのクリッピングが行われたというニュースをみました。
お堀から飛び立って逃げてしまったりケガをしてしまったりを防ぐために定期的に行われている恒例行事だそう。
飼育されている鳥たちは、ハクチョウに限らず、風切羽のクリッピングをされていることがあります。
羽の一部を切って飛べなくするのですが、特にインコを飼育されている方にはこの風切羽をカットするかどうかというのは悩ましい問題です。
目次
インコのクリッピングのメリット
お家で飼育されているインコちゃん達は普段鳥かごの中で暮らしていると思いますが、一日に何度かは放鳥するタイミングがあり、このときに飛べてしまうがために起こる事故があります。
この「飛べてしまうがために起こる事故」を防止することがクリッピングの最大のメリットといえるでしょう。
外へ逃げる
窓を閉めたつもりが開いていたとか、放鳥していることに気づかずに家族の誰かがベランダに出ようとしてドアを開けてしまうとか、日常の中でいかにも起こりそうなシチュエーションです。
ほんの一瞬の隙をついてインコは逃げてしまい、悔やんでも悔やみきれないことになってしまいます。
インコは一部インコを除いて(ワカケホンセイインコが有名です)、寒さに弱く、日本の環境には適応できません。
悲しいことですが、逃げたインコはよっぽどの幸運に恵まれない限り、飼い主さんとの再会は難しいと思います。
調理中のお鍋やフライパンに飛び込む
意外と多いのが、調理中のお鍋やフライパンに飛び込んでやけどを負ってしまう事故。
食事の準備中に放鳥することもあまりないかもしれませんが、熱い調理器具に当たったり、お鍋に落ちたりしたらどうなるかは明らかです。
家具や建具への衝突
ビルの窓に衝突して残念ながらすでに亡くなっている野鳥が動物病院に運び込まれるケースがしばしばあります。
インコは身体が軽いので大丈夫そうに見えますが、衝突事故は危険です。
特に中型から大型のインコは、お部屋の中のような限られたスペースでは自在にコントロールするのがむずかしく、窓や壁に激突してしまいます。
これはセキセイインコのような小さなインコの方が小回りが利くので安全といえるのかもしれません。
体育館並のインコ部屋があるお宅には関係のない話ですが!
クリッピングのデメリット
では風切羽は問答無用でクリッピングしてしまえばよいのでしょうか?
いえいえ、やはりクリッピングにもデメリットはあります。
インコのストレスになる
放っておけば風切羽はまた伸びてきますので、定期的にクリッピングする必要があります。
その度に押さえつけられて羽をカットされるわけですから、少なくともクリッピング行為そのものがストレスになりますし、カットした後は羽の具合が変わってしまうわけですから、ストレスになります。
体重の軽いインコのこと、羽の一部をカットしただけとはいえ、体にかかる負担は人間がロングヘアをショートヘアにしたときの比ではないはずです。
飛べないことに気づかない
いける!飛ぶぜ!と飛び立ってみたらいつものように飛べないのです。
落下してケガをする危険性もあります。
スカイダイビングで飛行機から飛び出してみたら、パラシュートが壊れていた、みたいな?
我が家のメキシコシロガシラインコの場合
うちのインコがうちのインコになりたての頃は売られていたショップで切られていたのと、その後健康診断で連れて行った鳥病院で切ってもらったので最初の頃は風切羽はクリッピングされた状態でした。
その後一緒に暮らしてみると、うちのインコは基本飛ばないことがわかってきました。
ペットショップや動物園でインコを観察していると、意外と飛ばずに歩くんだなぁということに気づきました。
放鳥しても、「飛びたい!」という欲求は全くみせません。
また、我が家のメキシコシロガシラインコは非常に臆病で、一度嫌な思いをするといつまでも引きずります。
以前動物病院でタオル越しに保定されてしまったことをいまだに恨んでいて、私がケージを掃除しようと雑巾を片手に近づこうものならすごい剣幕で怒るのです。
この調子ですと、再び動物病院へクリッピングに行ったり、私が家で保定してクリッピングしたりしようものなら末代まで祟られそうです。
結果、我が家ではクリッピングはせずにいます。
そのかわり、事故を防ぐために必ず守っていることがあります。
- 調理中は放鳥しない
- 窓とドアが全部閉まっていることを確認してからケージをあける
- 猫の所在は必ず明らかにしておく
- 猫と鳥二人きりにしない
インコ単体で起こる事故も怖いですが、我が家には天敵の猫も同じ部屋で暮らしていますので、より注意が必要です。
放鳥している時は絶対に人間がそばにいて目を離さずにいますので、何か大きな音にビックリしてパニック飛びしちゃった場合でも何かにぶつかる前に人間が空中でショックを逃がしながらキャッチします。
向かって取るんじゃなくて引いて取るボールのように!
そもそも本当に飛ばないトリなので、踏まないよう注意ですが結構大きく存在感があるし、猫と暮らしているので足元に注意して歩く癖がついています。
そんなこんなで我が家のメキシコシロガシラインコには立派な風切羽が生えておりますが、かれこれ10年、ケガなく事故なく元気に過ごして参りました。
慢心せず、これからも放鳥時は目を光らせ続ける所存です。
同じ種類のインコちゃんでも個体差があるでしょうし、種類が違うならなおさらです。
それぞれのインコちゃんに合わせてクリッピングするかどうかよく考えてあげたいですね。