今月初め、上野動物園で飼育されていた国内最高齢の雌のオカピ「カセンイ」さんが24歳で天国へ行きました。
見た目も名前もちょっと変わっている珍獣オカピ、どんな動物なのでしょうか?
目次
オカピとは
世界三大珍獣のひとつ
世界三大珍獣のひとつに数えれているオカピ。
世界三大珍獣とは、ジャイアントパンダ、コビトカバ、オカピをいいます。
全てを飼育している上野動物園はさすがです。
オカピに限っていえば、日本では3つの動物園で見られるけれど、世界中で飼育されているオカピは40頭あまりというので、世界的に見てもとても貴重な動物といえるでしょう。
世界的にも珍しい動物が東京神奈川に集結しているので、首都圏在住者はオカピ的にはとてもラッキーだといえるでしょう。
実はオカピの存在が明らかになったのは20世紀に入ってからのこと。
焼き畑農業や金の採掘、戦争などで住処を奪われ、密漁で命を奪われ、数を減らしてしまったうえに森の奥深くに生息する動物なので、野生下での詳しい生態もわかっていません。
ユニコーンの正体はオカピ?
オカピは森の貴婦人、とか、森のキリンとか呼ばれているそうです。
とても臆病で神経質な性質なのでなかなか姿を見せることがなく、伝説のユニコーンに例えられることもあるとか。
そもそも絶滅危惧種で、野生ではアフリカのコンゴの森の奥にしか生息していない希少な動物なので、むしろユニコーンより貴重な存在かも。
ちなみにユニコーンは超獰猛で傲慢な獣らしいので、性格はオカピと似ていないんじゃないでしょうか?
オカピはキリンの仲間
足だけみるとシマウマっぽいけれど、シマウマは奇蹄目、オカピは偶蹄目。
オカピはキリンのご先祖様に近い動物で、頭の部分がよく似ています。
角がむき出しではなく、皮膚に覆われているところがキリンとそっくりです。
50cmあるという長い舌も、キリンと共通しているところですね。
この長い舌、猫の舌のようにザラザラしていて、葉っぱを食べやすいようにできているので、舐められると痛くて臭いらしいです。
オカピと違って、森林から草原へ適応していったのがキリンというわけです。
よくオカピは首がのびなかったキリンといわれていますね。
森で暮らすオカピは群れませんが、草原に適応したキリンは群れて暮らします。
どうしても偶蹄類や奇蹄類って存在が地味で、動物園でアイドル的存在になることもあまりありませんが、オカピはとても華やかな色合いで目立ちます。
森林ではカモフラージュになっている被毛の色ですが、オカピほど写真や映像で見るのと生で見るのとで印象が違う動物もあまりいないのではないでしょうか。
オカピの寿命は?
オカピの寿命についてははっきりとわかりません。
野生下だと15年程度、飼育下だと30年生きたものもいるそうですが、国内最高齢だったカセンイさんは24歳でした。
飼育下では20年くらいがひとつの目安でしょう。
上野動物園カセンイのプロフィール
1994年アメリカのサンディエゴ動物園にて誕生。
2001年上野動物園に参上。
2008年~2012年よこはま動物園ズーラシアへ出張。
ラップ調で紹介いたしましたが、動物園の大切な役割の一つに動物の繁殖というものもあり、カセンイさんも繁殖のためズーラシアへ出張している期間がありました。
よこはま動物園ズーラシアはオカピ繁殖に定評があり、孫の代まで誕生したオカピもいたほどでしたが、残念ながらハマッコボーイとの相性がいまいちだったようで、カセンイさんの子供は生まれませんでした。
でもサンディエゴ時代に2頭の子供を産んだお母さんオカピでもあります。
身体が大きく、長い足と凛々しいお顔が特徴で、とても慎重な性格だったようですが、時間をかければ飼育員さんにも心を許し、撫でさせてくれたそうです。
高齢になり、冬になると体調を崩すことが多かったようですが、腸閉塞で亡くなりました。
オカピのいる動物園
オカピは生で見ると印象がかなり違う動物です。
なんていうか、思っているより派手なんです。
存在が華やかなんです。
しかも、結構近くでじっくり観察できちゃいます。
近くでじっと観察していると、不思議な気分になってくる動物です。
なんて言ったらいいのかうまく表現できないので、一人でも多くの方に直接この不思議な感覚を味わっていただきたい。
私は横浜市民なので、オカピ的にはとっても恵まれた環境にいます。
オカピと同じ横浜の空気を吸って生きています。
オカピは日本国内では3か所の動物園で飼育されています。
上野動物園(東京)
カセンイさんがいた上野動物園には、もう一頭、3歳の雄の「バカーリ」さんが飼育されています。
バカーリさんは2018年12月に上野に来たばかり。
カセンイさんの出身地でもあるサンディエゴ動物園所属のオカピです。
日本で世界三大珍獣を全て見られるのは上野動物園だけです。
オカピとコビトカバは、ジャイアントパンダほどは混雑していない環境でじっくり観察できますよ。
繁殖のため、国内外問わず動物園の間でオカピの異動はしばしばありますので、今後また違う雌が来園するかもしれません。
よこはま動物園ズーラシア(神奈川)
1999年、日本で初めてオカピを展示したのがここズーラシアです。
もちろんわたしも駆け付けました。
ズーラシアといえばオカピ!というほど、ズーラシアのアイドルでもあります。
レイラとキアンガ、このカップルから誕生した子供がまた子供を産み、3代に渡って繁殖に成功したのはオカピのポテンシャルと飼育員の尽力によるものでしょう。
当然お土産ショップにはオカピのぬいぐるみも充実していますので、生で見て気に入った方は是非お土産にどうぞ!
ちなみに、ポスターに描かれたオカピはキアンガがモデルだそうです。
今年開園20周年になるズーラシアは、一日中楽しめる大きな動物園ですので、午前中から入園することをおすすめします。
オカピのいるコーナーは順路的に最後の方なので、一日の締めくくりにオカピです。
ズーラシアは、ゾウに乗れるイベントやラクダに乗れるイベントが行われることもありますが、いつも子供対象なのが残念・・・。
体重制限つけて、大人も対象にしてほしいと切に願います。
40kg制限とかは絶対無理だけど、50kg制限だったら断食して頑張りますから!
金沢動物園(神奈川)
横浜南部にある金沢動物園のアイドルはオカピではなくてコアラかもしれません。
コアラ来園当時は、飼育方法が難しく、飼育員に自殺者が出たほどでした。
いつ訪問してもたくさんのコアラたちがのんびりと過ごす様子を観察できる場所ですが、陰では飼育員たちの並々ならぬ努力があったわけですね。
この金沢動物園ですが、ズーラシアや上野動物園と比較すると展示されている動物の数は少ないです。
ひとつひとつの動物の飼育スペースが広く、柵がないので良いカメラをお持ちの方はあたかも野生の動物を撮ったみたいな写真になるかもしれません。
個人的には動物をゆっくりじっくり観察するにはここが一番お勧めです。
(ちなみに水族館では油壷マリンパークがお勧めです。)
長いローラー滑り台があり、広い公園があり、自然の山を利用したスペース的にゆとりある作りで、季節の花も見られるし野生のキツツキとかいるし楽しいところです。
ここのワライカワセミは結構笑ってくれるので、うるさ可愛いですよ。
オカピ、獏よりも夢とか食べちゃいそうな動物。
地味派手で優しい顔の不思議な動物。
ぜひぜひ直接見てみてください。
西日本方面の方も北日本の方も是非東京か神奈川へ。いやぜひとも神奈川へ!