流氷の天使クリオネ。その正体は何なのか、子供の頃友達と揉めました。イカだよ!いや、虫でしょ?何故か親まで巻き込んでの大騒動でした。正解は「ハダカカメガイ」、巻貝の仲間でした!
クリオネの生態
軟体動物門腹足綱裸殻翼足類
(裸殻翼足目、または後鰓目裸殻翼足亜目)
ハダカカメガイ科、ハダカカメガイ属
中国語かと思うほど長い漢字が続きますね!
このクリオネことハダカカメガイ、名前のごとく巻貝の仲間ですが、貝を捨て去った姿です。
雌雄両性で、交尾の際のポジションでオスになったりメスになったりできるとか。
合理的。
スケルトン仕様ですが、内臓はスケルトンではありません。
北極海や北太平洋の寒流域の水深浅めの海に暮らし、自分に近い種の小さな動物を食べています。
バッカルコーンはエサを獲る触手
捕食シーンはなかなか衝撃的で、頭部からバッカルコーンという6本の触手を伸ばして
獲物の養分を吸い取ります。
新江の島水族館 EnosuiMovieより
話だけ聞くとバッカルコーン、なんかコワイですが、実際に動画で見るとかわいいですね。
よく天使が悪魔に変身!などといわれますが、天使だって食べなきゃ生きていけないんだよ!といいたくなります。
使うときだけ飛び出すバッカルコーン、無駄遣いしないバッカルコーン、神様が作った?こういう動物の合理性ってほんとによくできていますね!
ちなみにクリオネ、食べなきゃいきていけないとはいえ、1年の絶食に耐えることもあるとか。
ダイオウグソクムシといい、海の生物ってものすごく燃費がいいものもいますね。
クリオネの飼育方法
ナメクジみたいなものですが本当に飼いたいですか?というのはおいといて。
そんな方にはクリオネ飼育キットが売られているようです。
アクアリストは水温を管理できる道具をお持ちのこともあるかもしれません。
でもそこまで設備を整えなくとも、飼育するだけならできそうです。
条件としては最低でも、
- 水温0℃~5℃
- 新鮮な海水
これをキープできる環境が必要です。
魚類に関わらず、温度変化は全ての生物にとってストレスだと思います。
エアコンを発明した人にノーベル賞あげたいです。
たとえば、冷蔵庫の中にクリオネ1匹につき1リットルの海水、海水は毎週1回は取り換える。
これじゃ見えないじゃん!
たまに出して愛でる程度ならできそうですが、目で見て楽しむにはやはり熱帯魚や金魚など観賞魚の方がよさそうですね。
水族館や研究施設など、設備が整った施設でないとうまく飼育するのは難しそうです。
クリオネはどんな味?
何でもとりあえず食べてみたり、どんな味なんだろう?と想像するのがニンゲンの業です。
勇気ある挑戦者がいなければ、ウニも納豆も日の目を見ることはなかったかも。
で、食べた人はどんな味だったと言っているのか?
- 発砲スチロール
- シンナー
- ガソリン
どれも食べたことないんですけど、何となくわかるのは何故でしょう?
石油系ケミカルなまずさ?刺激臭がある?
わたしはホタルイカ的な味を想像していました。
クリオネはイカだ、と言い張っていた友人のせいかもしれません。
いやしかし、貝でしょ?貝なんでしょう??
アワビやサザエは地球滅亡の前日に食べたいくらい美味しいし、アサリなんか日常的に美味しいし、シジミは飲んだ日でも飲んでない日でも沁みるじゃあないですか。
貝類のはしくれにも置けない感じ?
貝類の刺身は大好物ですが、クリオネは遠慮しておこうと思います。
ガソリン味の理由は?
これ調べてもよくわからないのですが、ネット上ではクリオネが絶食に耐えるために体内に油のような物質を蓄えている説がいわれています。
魚類の脂はそのようなケミカルな味はしませんので、ホタルイカ的なワタの部分の脂がクリオネ特有の味を作り出しているのかもしれません。
絶食に耐えるために体内に蓄えているガソリン(比喩)が本当にガソリンの味がするなんて!
クリオネの新種発見!
新潟の観光漁港、寺泊だったか能生だったか、で並べられたブリの隣に瓶に入ったクリオネがいました。
あちらではそれくらいポピュラーな生物なのかと思っていました。
売り物ではなかったのですが、売ってほしそうにしてる人もいませんでした。
この度、富山湾で見つかったクリオネは新種だそうです。
そもそも日本近海では水温の低いオホーツク海の辺りにいるらしく、富山湾の水深が深い場所で生息できる新種かもしれない、ということです。
地球温暖化に適応して、オホーツク海よりは水温が高い富山湾でも、深い水深でなら暮らせる新種が誕生したのかと思いましたが詳しいことはまだ調査しないとわからないそうです。
富山といえばホタルイカ。
ホタルイカにしれっと混ざっていたら見た目では気づかないかもしれませんが、あの美味しいホタルイカをイメージしていたところにガソリンの味がしたらガッカリ!
この世界にはなんと不思議な生物がいることでしょう!
小さな翼で海中に漂う天使クリオネ。
しばしばスーパーや魚屋の店頭に並んで話題になりますが、飼育するには手間がかかり、食べても美味しくないので見るだけにしておいた方がいいかもしれませんね。
クリオネはまずい。ではホッキョクグマは?
ダイオウグソクムシを食べる勇気はある?